ロックバンドが活動を10年続けることはとても大変なことだ。しかもそれがメジャーシーンで10年活躍し続けることとなると、変遷の激しい日本の音楽シーンにおいてはその大変さもより過酷なものとなってくる。もっと言えば、デビュー1年目のバンドとデビュー11年目のバンドとでは、その後10年のサバイブの仕方も大いに変わってくる。
GLAYが2005年3月に東京ドームでライブを行ったとき、TERUは「10年後、このステージにジャケットを絶対に取りにくるから」とファンに宣言し、白いジャケットをマイクスタンドにかけてステージを降りた。つまり、GLAYにとってのこの10年はファンと交わした約束を守るため、ひたすら突っ走った10年なのだ。90年代後半から2000年代前半にかけて、空前のメガヒットを記録したGLAY。正直なところ、2005年以降の音楽産業の衰退も大きく影響して、彼らのセールスも以前と同じような記録を打ち立てることはできていない。それでも、彼らは地道に新曲の制作や定期的にホールツアーからスタジアムまでライブを重ねて、ファンとの絆をつないできた。今回の東京ドーム公演でも話していたが、この10年間に東京ドームでライブをするチャンスもあったそうだ。しかしGLAYは「10年後」というファンとの約束を頑なに守り、2015年を目標に走り続けた。
こうして実現した2015年5月30、31日の東京ドーム公演「20th Anniversary Final GLAY in TOKYO DOME Miracle Music Hunt Forever」ステージ後方のスタンド席にまで観客が入り、両日とも満員の5万5000人、計11万人を動員する近年稀に見るドームライブとなった。10年前のドーム公演を彷彿とさせる選曲や演出だけではなく、デビュー20周年を祝福するようなサプライズも飛び出したこの東京ドーム2DAYS公演を改めて映像で見返してみると、過去20年の総括のようにも感じられるし、これからまた新たな10年を突っ走っていくための決意表明のようにも感じられる。TERUが31日公演の本編ラスト前に告げた「10年後、20年後、GLAYは解散しないので、これからもたくさんの夢を叶えていきましょう!」という言葉を信じられるのは、彼らが絶対に約束を守る男たちだからだと、ここまでの20年を見てきた者、いや、この10年だけでもGLAYを見てきた人なら実感できるはずだ。
破格なオープニングから感涙モノのエンディングまで、見どころ満載の2日間。GLAYをデビューに導いたYOSHIKI(X JAPAN)との共演など20周年ならではの演出もあるが、まずは彼らが紡いできた名曲の数々と、そして「約束」を守った彼らの男意気を感じてほしい。
(西廣智一)